冷凍都市のハルキゲニア

2つの世界を行き来する生物が書いたくそ日記だよ。わーい。

A世界#1

日本、東京の某所の自宅アパートの部屋で、今この記事を書いている。
時刻は夜中の1時を回ったところ。夜の静けさという風情は無く、ただエアコンの送風音とキーボードを叩く音しか耳に入らない。しかしひどく落ち着く。

小さい頃から、ぼくはこの世界に対し疑問を抱いていた。大人になればその疑問は晴れていくのだろうとぼくは思っていた。しかしながら、ぼくの姿かたちが大きくなればなるほど、その疑問もぼくの体に合わせて、大きく、仰々しい姿へと成長していくように感じられた。最初はお腹の奥底に煤の様に溜まっていたそれは、やがてとぐろを巻く大蛇のようにぼくの鳩尾のあたりに居座り、ぎゅうぎゅうと内側から内蔵を締め付けてくるようになった。近頃は締め付ける力が一段と強くなってきた。

周りの人たちもみんなそんな大蛇をお腹の中に飼っているのだとある時は思っていたが、どうもそうでもないらしい。飼っている人もいれば飼っていない人もいる。さらには大蛇に内側から食われてしまったような人もいれば、体の外に出して毒を撒き散らしているような人もいるらしい。ぼくはとても混乱した。世界というものが分からなくなっていく。ぼくは狭い世界に生きている。しかしその狭い世界ですら理解できず、折り合いをつけられず、意味が分かっていない。

そういう時、ぼくは眠る。混乱した脳味噌を休め、少しでも楽しい思いをするために。

今日も眠ろう。少しでも楽しい思いをするために。少しでも幸せになるように。